ビットコインのマイニング(取引処理)では電力を消費して処理が行われます。マイニングでは最も高性能な設備と多量の電力消費を行った人が報酬を貰う確率が高くなるルールが定められているので、マイニング参加者は電力を大量消費する事でより多くの報酬を受け取ろうとします。
この、最も高性能な設備や多量の電力消費を行った者に報酬を与える仕組みを「Proof of Work(プルーフオブワーク)」と言います。日本語では「仕事の証明」と訳されます。ここで言う仕事とは「高性能な設備や電力消費」の事で、ビットコインのプルーフオブワークでは報酬は仕事量が最も多かった一人にのみ報酬が与えられるので他者よりも仕事を行おうとする「競争原理」が働きます。
報酬はビットコインで支払われますのでビットコインの価格が上昇すると報酬のレートも自動的に上昇し、かけられるコスト(仕事、つまり設備費や電力)が上昇します。価格が上がる事によってどんどんと消費する電力が上昇する事になります。
ビットコインマイニングは「単純な計算を無数に行う」、というものなのでマイニングによって消費される電力には何も意味がありません。電力等のエネルギーを消費して生まれる者は「ビットコイン」というバーチャルなもので、物理的に価値のあるものは生み出さず経済全体を通してみると「無駄」なエネルギーの消費です。ビットコインに価値があればそのエネルギーによって生み出されたビットコインによって何かが生産されるというサイクルが生まれますので全てが無駄になっている訳ではありませんが実際に報酬を受け取るマイナーが「貯蓄」に回してしまえばその分のエネルギー消費のみかかり、経済の回転は起こりません。
この「エネルギー消費」はビットコインに与えられている課題です。現在の法定通貨でも紙幣を印刷する事や輸送を行う事で実質的なエネルギー消費は行われておりますがその仕事が細分化されている事で経済を回している事や消費したエネルギーの再利用(通貨発行だけではなく経済活動をした際のエネルギー再利用)は世界で進められている通りで、今後ビットコインのエネルギー再利用は問題になっていくでしょう。
仮想通貨ではプルーフオブワークの他のマイニングシステムとして「Proof of Stake(プルーフオブステーク)」と言われるものがあります。これは仮想通貨「イーサリアム」などで採用されているマイニングルール(イーサリアムではプルーフオブワークの後プルーフオブステークに変更予定)で、「多くの資産を持っている者が報酬を与えられる」というものです。
このプルーフオブステークの意義は最も多くその仮想通貨を持っている人が報酬を与えられるようにすれば多額の保有者はその通貨の価値が上がるインセンティブを持つので不正な事をしない、等の「通貨の機能」の為のルールです。
しかしそれと同時にプルーフオブステークはプルーフオブワークよりも消費電力が少なくて済むので上記で挙げたビットコインの課題をそのような側面ではクリアしております。プルーフオブステークでは保有量の証明の為に多少エネルギーを消費しますが、プルーフオブワークのような「無数の単純な計算」を競争する仕組みはありません。
もしも、プルーフオブステークが仮想通貨の機能を支えるシステムとして成り立つものであると証明されれば、経済全体の事を考えるとプルーフオブステークの方が指示を集める可能性はあります。
現在ビットコインのエネルギー消費の再利用は一部で構想されており、今後どのような方向に行くか分かりません。このようなマイニングルールを知る事で今後の仮想通貨がどのような方向に行くのかを考察するきっかけにしていただければと思います。
この記事を書いた人
- とってもやさしいビットコイン運営者
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